RPAと聞くと、業務の効率化の代名詞のようなイメージを持っている経営層の人も多いのではないでしょうか?
確かに、RPAは人間が行っている定型業務をよりスピーディーに、より正確に行うので業務の効率化になります。
ただ、本当の意味でのRPAの効果を考えた時に単なる業務の効率化だけに終わるものではないと思うんですね。
RPAの導入を検討する事自体が経営効率を上げる!
RPAの導入を検討する時に、多くの企業の人たちが気づくことがあります。
それは、「業務を一連のオペレーションのつながりとして構造的に捉えていない」という事実。
RPAの導入を検討する時にまずやることの1つに、業務の可視化があります。
この業務の可視化をしようとした時に、そもそも普段の業務を一連のオペレーションとして捉えていないので、いったいどこから手を付けたら良いのか分からなくて悩んでしまうケースが多々あります。
何気なくこなしている普段の業務が、標準化・仕組化がされていないからではないでしょうか。
RPAの導入前に考えることになる業務の標準化・仕組化
日本の企業は、欧米の企業に比べて、現場に力があるとされてきました。
要するに、マンパワーで仕事をしていくのが日本の企業の特徴であったと言えます。
ですが、マンパワーで仕事をしていくという事は、逆に捉えると、日々の仕事が標準化・仕組化されていないと言えます。
そして、一部の仕事のできる人のところに仕事が集中してしまい、その人が会社を辞めてしまうと、途端にその会社の業務は停滞し始めます。
今の日本は転職市場が活発になり、人材の流動性が高まった状態を考えると、優秀な人が抜けたあとの業務運営をマンパワーに頼っている状態はとてもリスクが高い状態と言えるのではないでしょうか?
こうした日本の企業に対して、欧米、特にアメリカの企業では様々な文化的背景を持った人種の人が同じ企業で働くので、経営陣や管理部門は現場の努力や創意工夫よりも業務のオペレーションをできるだけ「仕組化」「標準化」することに取り組んできました。
現場の力で業務をこなしていくためには、常に優秀な人材を一定数確保し続ける必要がありますが、「仕組化」「標準化」された業務のなかでは、必ずしも優秀な人材ではなくても業務の遂行ができるようになっています。(もちろん、優秀な人材の方がより品質の高い業務の遂行になるのは言うまでもありませんが・・・。)
問題は、今の日本においては、人口の減少、生産年齢人口の減少がもたらす人手不足のなかで優秀な人材の確保が難しくなっている、という事。
特に、優秀な人材の数が減っているという事ですね。
となれば、現場の力に頼った業務の遂行は難しくなってきているのが多くの企業にも当てはまると思います。
さて、この状況とRPAの導入についてですが、RPAの導入を検討する時にまず考えないといけないのが、業務の「仕組化」「標準化」です。
RPAは定型業務を自動化するソフトウェアなので、RPAの導入を検討するという事は、業務の「仕組化」「標準化」を考える必要があります。
これは、優秀な人材の確保が難しくなってきている今の日本に必要な改善のプロセスです。
この改善プロセスに気づける機会になるのが、RPAの導入と言えるのではないでしょうか?
RPAの導入が必要ないという判断もあり得る。
RPAの導入をするために、今の業務の「仕組化」「標準化」に取り組むことで今までのオペレーションの無駄や過剰、あるいは欠けているところに気づき、それを改善するだけでも業務の効率化を実現できることもでてくるでしょう。
そうなれば結果的にRPAを導入する必要がないという判断も可能になってきます。
RPAは業務の見直し、効率化を図ることで、限られたリソースを付加価値の高いサービスや商品の開発に振り向けるためのあくまでも1つの手段に過ぎません。
システム化できるものはシステム化するべきでしょうし、RPA以外の他の手法で解決できるのであれば、それでもかまわないと思うんです。
RPAの導入と経営への効果まとめ
RPAが大手企業から中小企業まで、導入がどんどん進んでいる状態は、今の日本企業は業務の効率化が緊急の課題であることの証拠、とっても良いと思います。
特に、生産年齢人口の減少による優秀な人材の確保が難しくなっている現代においては、業務の効率化は避けては通れない課題の1つ。
業務効率化の1つの手段としては、RPAの導入は意味があるものだとは思いますが、まずは業務の「仕組化「標準化」に取り組むことが経営上考えるべきことではないでしょうか?